この記事では、エクセルで作成した散布図において、プロット(マーカー)やデータラベルの重なりをずらして見やすくする方法を解説します。
・プロットの重なりをずらす方法
・データラベルの重なりをずらす方法
の2つについて、実際のサンプルを用いて見ていきましょう。
エクセルの散布図にてプロットの重なりをずらし見やすくする方法【重なりの順番調整など】
それでは以下で散布図にて「プロット」が重なる場合にずらして見やすくする方法を見ていきます。
下図は、横軸xの値に対してy1、y2それぞれの値で作成した散布図です。
赤い資格の部分を見ると、y1、y2の値が同じため、グラフがぴったり重なってしまっています。
既に作成した散布図をずらす機能は、エクセルにはありません。
そのため、新たに重なった部分をずらしたグラフを作成する必要があります。
まず、ずらしたグラフを作成するためのダミーデータを作成します。
y2のデータをコピーし、隣の列に貼付けをします。わかりやすくするため、列の名前を「y2’」に変更しています。
今回は、y2のグラフを上にずらすことにします。
重なっている部分(5,6行目)の値に、同じ数値を足します。後から変更できるので、数値は適当で構いません。
y2’のグラフを追加するため、y2のグラフを非表示にします。
y2のグラフ(オレンジ色)を選択し、右クリック→「データ系列の書式設定」を開きます。
「線」の項目から「線なし」を選択すると、プロット同士をつないでいる線が消えます。
同様に「マーカー」の項目にあるマーカーオプションの「線なし」を選択することで、プロットも消えます。
これでy2のグラフは表示されなくなりました。
次にy2’のグラフを追加します。
グラフエリアを選択した状態で、右クリック→「データの選択」を開きます。
「凡例項目」にある「追加」をクリックします。
「系列名」は後から変更しますが、ひとまずダミーデータと同じ「y’」を入力しておきます。
「系列Xの値」の横にある矢印ボタンをクリックすることで、横軸に使用するデータの範囲を選択することができます。
表のxの値(A2~A11)をドラッグ&ドロップで選択します。
テキストボックスにA2~A11が選択されていることを確認したら、再度矢印ボタンをクリックします。
同様に、「系列Yの値」にはy2’の値の範囲(D2~D11)を設定します。
OKを押すと、y2’のグラフが表示されました。
グラフの重なった部分があまりずれていないので、ダミーデータに追加する数値を調整します。
今回は+1にしてみると、うまくずれて表示されました。
あとは、不要なy2の凡例を削除し、y2’の凡例名をy2に変更します。
y2’の凡例名を変更するには、グラフエリアを選択して右クリック→「データの選択」を開き、y2’を選択した状態で「編集」を押すと、変更することができます。
これで、グラフをずらして表示することができました。
ここでグラフを見てみると、青色のグラフ(y1)の上に灰色のグラフ(y2)が重なっています。
青色の上に灰色が重なっていると少しぼやけた印象になるため、グラフの重なりを入れ替えてみます。
グラフエリアを選択して、右クリック→「データの選択」を開きます。
「凡例項目」の一覧の下にある系列ほど、手前に表示されます。
y1を選択した状態で下向き矢印のボタンをクリックし、y1を一番下まで移動させます。
グラフの重なりが逆になり、より見やすくなったのではないでしょうか。
エクセルの散布図にてラベルの重なりをずらし見やすくする方法【重なりの順番調整など】
次に、ラベルの重なりをずらす方法について解説します。
サンプルとして、先ほど作成したy1、y2、y2‘のデータを使用していきます。
まずはデータラベルを追加します。
y1のグラフ(青色)を選択した状態で、「グラフのデザイン」リボンから「グラフ要素を追加」→「データラベル」を選択します。
プロットに対してデータラベルを表示する位置を選ぶことができるので、任意の場所を選択します。
y1の値がデータラベルとして表示されました。
一部グラフと重なっていますが、後から調整できるため、一旦そのままにしておきます。
次にy2’のグラフにデータラベルを追加しますが、この時、y2’のグラフを選択しないように注意します。
y2‘はダミーデータであり、グラフをずらすために数値を追加しているので、実際のデータと異なっています。
そのため、データラベルを追加する際には、元のy2のグラフを選択する必要があります。
y2のグラフは非表示になっており選択が難しいため、書式設定の画面から選択します。
y1またはy2’のグラフを選択して右クリック→「データ系列の書式設定」を開きます。
「系列のオプション」から、グラフの要素を直接選択することができます。
系列”y2”を選択すると、非表示になっているy2のグラフを選択することができます。
y2のグラフを選択した状態で、「グラフのデザイン」→「グラフ要素を追加」→「データラベル」を選択します。
y2のデータラベルが表示されました。
グラフをずらした部分も、元データ(y2)の数値が表示されています。
後は、見やすいようにデータラベルの位置をずらしていきます。
各ラベルをダブルクリックすると個別で選択できるので、そのままドラッグ&ドロップで任意の場所に動かします。
デフォルトの設定では、ラベルをプロットから遠ざけると引き出し線が表示されます。不要の場合は、ラベルを選択して右クリック→「データ系列の書式設定」→「ラベルオプション」から非表示にすることができます。
あとは凡例を整えて完成です。
まとめ エクセルの散布図にて重なりをずらし見やすくする方法
この記事では、エクセルで作成した散布図において、プロット(マーカー)やデータラベルの重なりをずらして見やすくする方法を解説しました。
プロットの重なりをずらすには、新たに重なり部分をずらしたデータのグラフを作成することで、見かけ上ずれているように表示することができます。また、データラベルはマウスのドラッグ&ドロップで、個々にずらすことができます。
エクセルの仕組みを理解し、業務に役立てていきましょう。